上部頸椎がズレると頭部の安定が悪くなります。 結果、後頭骨と上部頸椎に付着している筋肉(後頭下筋群)が緊張します。 ※緊張することで頭部を通常の位置に保とうとします。 後頭下筋群の持続的な緊張は首や肩の凝りや痛みの起因となり、 人によっては緊張性頭痛、頭痛からくる吐き気などを引き起こします。 また頸部から連動し、背部、腰部、臀部、大腿後側、ふくらはぎと 背側の筋肉が緊張状態にあるため、 立位にて踵に圧が掛かり、浮指(足の指が床に接地しない)になる傾向にあります。 ※浮指はストレートネック、骨盤の後傾も関係します。日常の座り方が大事です。 重心と足圧分布の一例) 右図:pre(アジャスト前) 重心(赤い点)が左後方に位置しています。左踵に圧が掛かり踵立ちになっています。 右足はほとんど指が接地していません。 左図:post(アジャスト後) 解説 立位における身体の重心は簡単に言うと骨盤にあります。 頭部の重心は簡単に言うと環椎後頭関節(第一頸椎と後頭骨の関節)の前上方にあります。 上部頸椎の位置により決まる頭部の重心、 そのバランスを骨盤で取ることで、立位における重心が決まります。 ※骨盤の左右移動、回転など 上図の検査における重心とは ■上部頸椎の位置 → 頭部の重心の決定 → 立位における重心の決定 ■重心動揺線(重心から地球の中心に向けて引いた線の揺れ)を開眼で20秒計測した平均値です。 ■安定が悪く動揺が大きいと重心(赤い点)の周りの黒線が長いです。 身体を支えるには足底の接地面が広い方が安定も良いし立っていても楽です。
接地面が狭いと支える為のエネルギー消費が増すと共に疲労度も増します。 更に立位を保つ為に、背側の筋肉がより緊張するという悪循環を引き起こします。 ※後方重心は筋力低下や運動不足なども影響します。 足の裏を床に着けないで過ごすとなると、 まるで修行のようですが、自覚がないまま過ごされている方は少なくありません。 普通に腕立て伏せをするより指だけでする方がきつい様に、足の接地面積が狭いと立っているだけで疲れます。 特に何もしていないのに疲れてやる気が出ないなど、こういう所に原因が隠れていることもあります。 あなたはどうでしょうか。 追記:上部頸椎カイロプラクティックにて重心・足圧分布を検査する理由は、上部頸椎にズレがある時の重心パターン、 足圧パターンを調べる為です。 ■ぎっくり腰の人 ■ぎっくり腰の予兆がある人 ■ぎっくり腰になって動けるようになったが、まだ腰に不安がある人 が調整にいらっしゃいます。 腰の痛みには腰の治療が常識ですが、当オフィスの調整は上部頸椎のみ。 一体、何をしているのでしょうか? 痛みの緩和を目的に治療をするわけではありません。 自然治癒力による回復を促す為に上部頸椎をアジャストします。 年に数回ぎっくり腰になるという方がいます。 本人は「癖になっている」と言われます。 癖の正体は何でしょうか。 その癖は消えないのでしょうか。 これまで多くのぎっくり腰の方をみてきましたが、 共通の特徴があり、すべてにおいて上部頸椎をアジャストする条件が出ています。 今回はその解説とスムーズに回復するためのヒントを書いていきます。 ぎっくり腰を一言で言えば、腰部の筋肉の異常な収縮です。 という意味では、ぎっくり首もぎっくり背中もあるのですが、 腰の場合は立てない、歩けないというように事態が少し深刻ですのでよく知られています。 (ヘルニアの痛み、圧迫骨折の痛みとは異なります。) ちなみに腰がギクっとするからぎっくり腰ではなく、 ギックラセンキというギリシャ語(多分)が由来となっています。 意味は「魔女の一撃」。魔女というところが西洋ぽいですね。 共通の特徴 ■前傾姿勢、骨盤が左右どちらかに寄っていて辛そうな立ち方。 ■うつ伏せ、仰向けになると左右どちらかの脚が短い。 所見 ■仙腸関節(骨盤を構成している仙骨と腸骨の関節)の僅かなズレにより 腰椎から骨盤、大腿後側の筋肉が異常に収縮している。 ■収縮側の脚が短くなっている。 ■通常、収縮側の脚が仰向けの状態で持ち上がらない、もしくは上げ辛い。 上部頸椎カイロプラクティックでは、 上記の所見を検査で確認するのみで、患部に手を触れることも仙骨を施術することありません。 あくまで上部頸椎のアジャスト後の確認事項として記録します。 「なぜ、ぎっくり腰が癖になるのか」を解説 ここまでの話をまとめると ぎっくり腰の原因は仙腸関節とその周辺の筋肉の問題ということになるでしょう。 仙腸関節の治療をすれば問題解決に繋がるかもしれません。 しかし、上部頸椎カイロの観点から眺めると、 仙腸関節に起こる問題も結果であり原因ではありません。 「ぎっくり腰が癖になる」から脱け出す為には、 仙腸関節に問題が生ずる前に手を打つことが予防となります。 その答えは「首のロック解除と頭部の安定」。 後頭骨と第1頸椎間の側屈(頭を横に傾ける)可動域は約8度です。 (頸椎部の側屈可動域は約40~45度) 前記事の「座り方のヒント」に書きましたが、 日常生活に上部頸椎がズレる習慣が組み込まれていることが多く、 第1頸椎の側方変位側に可動域の制限(ロック)が掛かります。 背骨は24個の椎骨の柱で一番上の第1頸椎の動きの制限をそれより下の椎骨で補います。 頭部の重みは体重の約10分の1。 背骨を本能的に歪めて頭を支えているわけです。 重力の働く地球で重い頭を上に載せ、直立二足歩行で生活するかぎり、 仙腸関節の問題は「首のロックと頭部の重み」が引き金になっており、 何かの拍子で筋肉の異常な収縮が起こるのです。 ※重い物を持ち上げた時、洗面で前屈みになった時など 身体に起こる問題は複合的ですから絶対ということはありえないのですが、 上部頸椎のアジャストメントによる頭部の安定で大方ぎっくり腰を繰り返さなくなります。 上部頸椎のアジャストメントの特性 上部頸椎をアジャストすると、身体が温かい、ポカポカする、熱いと言われる方がいます。 背骨の他の部分との大きな違いは上部頸椎領域には延髄の尾側が収まっていること。 故にアジャストメントにより副交感神経が優位となることで、 ■血管が拡張することで温かさを感じます。 ■それは同時に呼吸を深くし、 ■筋肉を弛緩させます。 この3つの要素が筋肉の異常収縮の調整をしています。 ※外側から温めたり、ゆるめたりする治療ではなく、身体の内側で起こる調整 結果、脚の長さが揃い、神経伝達が良くなることで上がらなかった脚が調整後軽く上がることもあります。 中には血管の拡張により痛みが増す方もいますが、時間と共に落ち着きます。 アジャスト後は注意事項を伝えて終了ですが、
ぎっくり腰の方には重ねて生活する上でのポイントを3つ伝えます。 1.寝て起きる時は腹筋ではなく、必ず横向きになって手でベッドを押して起きる。 2.床のものを取る時は腰を曲げるのではなく膝を曲げてしゃがんで拾う。 3.椅子から立つ時に上を向いてゆっくり立つ。 痛みがある時は当然ですが、快方に向かっても暫くは意識して過ごして頂きます。 ポイントは安静にして過ごすより、動ける範囲内で動いた方が回復は早いです。 上記の3項目で再び痛めないように気を付けてください。 参考) ■腰背の筋力不足、運動不足、体重の増加、仕事の姿勢などもぎっくり腰の要因 ■ぎっくり腰になった直後、腰が疼くような痛みの時は保冷剤をタオルで巻いて患部を冷やすと 血管が収縮しますので幾らか痛みが和らぎます。 ■反対に温めると血管が拡張して痛みが増しますので、直後は控えてください。 ■寝る時は患部を上にして抱き枕を抱いて寝るのが楽です。 このようなことはネット上にも色々あると思いますので、調べてみて下さい。 不調を訴える方に「何か特別なことをされましたか?」と思い当たることを尋ねると、 「運動して○○を痛めた」「転んで○○を打った」というような怪我や 「引っ越しで疲れた」「孫の世話でクタクタ」 という日常の出来事など、ある程度明確な答えが返ってきます。 一方、「特に何も。」 というように全く心当たりがない方もいます。 そんな中、これまでの経験から一つの答えを導き出しました。 「毎日食べるものが、その人の身体を創るように 毎日の行動が、その人の身体のある部分を酷使している。」 ■心当たりのない方は不調の原因が日常生活に組み込まれている。 ■毎日の行動の中でも特に座り方に問題がある。 聞いてみると、 10時間パソコンの前という方もいます。 今は幾らかましですが、外出制限でテレワークとなると、 極端ですが、寝てるか、座っているかの2択という日もあるでしょう。 以前は重い物を持った拍子にギックリ腰になるというのが定番でしたが、 ここ数年、椅子から立った時というケースが増えたような気がします。 デスクワークの方も仕事の姿勢が首に良くないという自覚はあるようで、 仕事時の姿勢、特に首についてどうすれば良いかをよく聞かれます。 正しい座り方と検索すれば、ネット上に色々答えが出ていますが、 今回は普段伝えている座り方のヒントを書いていきます。 1.座り過ぎない
学生時代、50分の授業に10分休憩がありました。 10分をトイレや教室の移動に使っていましたが、 今思えば席から立ち上がって、座るという姿勢から体勢を変えることが重要なんですね。 という意味で一時間に一度は立つということを勧めています。 状況が許されれば、スクワットや軽い体操が出来れば尚良しです。 エコノミークラス症候群の予防にもなります。 長時間、動かず座りっぱなし。 この時、背骨はどうなっているのでしょう? (体重の10分の1と言われる)頭部の重みが背骨のある部分へ持続的に負荷を掛けている状態です。 その部分が頸椎下部と腰椎下部で、ヘルニアの好発部位となっています。 故に座り過ぎないことはヘルニアやそれから派生する坐骨神経痛の日常的な予防になります。 2.肩甲骨を内側に寄せる 作業において後ろ手を回してすることはほぼ無いと言っていいくらいで、 デスクワーク、料理、運転。通常、身体の前で行います。 このような毎日繰り返される日常動作で肩が巻き込みます。 ですので、時々 ・背筋を伸ばして ・胸を開いて ・鎖骨の下を伸ばして ・両肩甲骨を内側に寄せる 動作をお勧めしています。 ※痛みがある場合はやらないで下さい。 両肩が巻き込むと ・背中が丸くなり ・骨盤が後傾し ・頭、首が前に出ます ・両腕も内側に捻じることになり ・腕の痛みや腱鞘炎、肩の痛みを誘発します この時の姿勢は 頭から椅子に載っている骨盤までが逆Cの字を描いており、 背骨の生理的彎曲であるS字カーブが完全に消失した状態。 ※脊柱を横から見ると ・頸椎:軽い前彎 ・胸椎:後彎 ・腰椎:前彎 というS字状のカーブを呈しています。 ストレートネックとは頸椎における生理的彎曲の消失のことです。 ・首や腰の椎間板ヘルニア ・脊柱管狭窄症 ・それらが引き起こす坐骨神経痛 起因は色々ですが、毎日の座り方からくる背骨のカーブが発端となる可能性は大きいです。 ※腰椎の前弯カーブの増大(反り腰)は脊柱管狭窄症、すべり症に注意。 では、どのように座れば良いのか。 これは上記した 肩の巻き込みからくる逆Cの字の姿勢の反対を心掛けることです。 S字カーブが消失しないように意識して座ります。 ・骨盤を立てて ・腰は丸くならず、背骨がしっかり骨盤の上に載っている ・首は前傾せず顎をやや引く ・その状態で深く腰掛け、背中を背もたれに預ける ・肩は力を抜きリラックスする ※痛みがある場合はやらないで下さい。 と言っても、 常にそのように座らなければと思っていると精神的に疲れてしまいます。 そこで座る時にイメージすることがあります。 あくまで心掛けなんですが、 良い姿勢で座ること、楽な姿勢で座ることをイメージするのではなく、 3.強い姿勢で座る ことをイメージします。 重量30キロから40キロある鎧と兜を装着しているとします。 (実際鎧と兜の重量がどの位かは知りません。) この状態でデスクワークをしなければいけません。 さて、あなたはどのように座りますか。 足を組んだら椅子から横に転がり落ちるでしょう。 顎を引いていなければ、首から椅子ごと後ろに倒れるかもしれません。 こうなると選択肢は限られてきますよね。 ・しっかり床に両足全体を付けて ・骨盤を立て ・腰は丸くならず、背骨がしっかり上に載っている ・首は前傾せず顎をやや引く ・肩の力を抜きます これが強い座り方であり、身体に一番負担を掛けない座り方です。 ※床に足が付かない子どもは踏み台が必要。 足をブラブラさせての食事は噛む力や歯に影響すると言われています。 『自然治癒力は増えも減りもしない、ただ妨害されるだけ。』 これがカイロプラクティックにおける自然治癒力の見解です。 ※椎骨のズレが脳からの神経伝達に干渉・妨害を引き起こします。(これをサブラクセイションと呼びます。) 但し、神経細胞の電気的な情報伝達や神経伝達物質のことではありません。 東洋医学では身体に経絡という気の通り道があり、気の流れが滞ると病気になるという考えがあります。 ヨガ、インド伝承医学では身体を維持する生命エネルギーをプラーナと呼びます。 カイロプラクティックにも生命エネルギーの呼称がありますが、ブログではざっくり自然治癒力と書いていきます。 カイロプラクティックでは生命エネルギーの通り道を脳から背骨を通して全身へ広がる神経系と定義しています。 行うことは一つ。 脳と身体の繋ぎ目に生じた妨害を取り除くこと。 それが上部頸椎のアジャストメント。 ※鍼灸において経絡における気の滞りを良くするために鍼を打つのと同じように、 脳からの生命エネルギー(自然治癒力)の伝達妨害を取り除くために上部頸椎をアジャストします。 姿勢や歪みの矯正が本来の目的ではありません。 病名、症状は問いません。 アジャスト後は患者さん自身による身体の調整が始まります。 先月いらした患者さんの症例です。 現在初回から一か月経過しています。 79歳女性 4月25日 1回目の来院 アジャスト前とアジャスト40分後の姿勢変化 (許可を得て掲載させて頂きました。ありがとうございました。) アジャスト後の感想:お腹がよく動く。 4月27日 電話:よく眠れる様になった。時々頭が痛い。 4月29日 LINE: ・昨日、朝起きてから就寝まで後頭部、首回りにコリのような違和感がある。 ・歩くと斜め方向に進んでしまう。 ・時々、軽いめまいがある。 ※過ごし方のアドバイスをして次の来院まで様子を見て頂くことに。 5月9日 2回目の来院 ・上記のような症状はその日のみだった。※調整後の好転反応 ・翌日よりスムーズに歩けるようになる。(事故前の歩行に4か月ぶりに戻る。) ・同じ距離を歩くのに半分の時間で歩けた。 (今回は電車を乗り継ぎ一時間以上掛かる距離を付き添いの方なしでいらっしゃいました。) ・右肩辺りが一週間ほど痛かった。 ・便秘が解消した。 ・めまいは以前より軽くなっている。 ・事故で生じたピリピリした頭の傷の痛みが消えた。 ・昨日首に痛みがあったが今日はそうでもない。 ※状態は総体的に良い方へ向かっていましたが、検査の結果、アジャストしました。 5月30日 3回目の来院 ・めまいがなくなり調子良く過ごしている。 ・動悸、不整脈もない。血圧も正常。 ・家族から前より楽にすっきり立っていると言われた。 ※検査結果も良いのでノーアジャストで終了。次回以降は体調を見て連絡を頂くことに。 初回アジャスト前と約一か月後の姿勢変化 ポイント)
自然治癒力による身体の調整は必ずしもアジャスト後すぐに変化が見られるわけではなく、傷の塞がりと同様、時間が必要です。 また身体の特定の部分ではなく全身に影響します。 主訴であるめまいの治療のためではなく、自然治癒力による(事故後の身体からの)回復を促す為にアジャストします。 結果、こちらの患者さんの場合は便秘の解消など他にも改善が見られました。 カルテに書いていないこと、聞いていないことをアジャスト後しばらくしてから良くなったと報告を受けることが多いです。 これが対症療法との一番の違いです。 解説) 追突事故におけるムチ打ち症。スポーツで強い衝撃が加わったようなケース。 階段からの落下や尻もち。打撲、打ち身など、日常生活における怪我は数え切れません。 時間と共に怪我の痛みが消えると治ったと安心するかもしれませんが、 衝撃により生じた上部頸椎のズレが放置されたままの場合があります。 いつの日からか頭痛に悩まされる、気分が塞ぎ込みがちになるなど、 事故や怪我とは直接結びつかないような症状に悩まされることがあります。 MRIなどの検査で特に異常が認められない場合は、 頭痛薬や安定剤に頼りがちの生活になる前に、 今回の症例と上部頸椎のことを思い出して頂ければと思います。 そして一刻も早く妨害を取り除き、本来の自分を取り戻してください。 Nature needs no help, just no interference. |